REPORT
味坊 × 鷹匠中華Lu 東京発の“ガチ中華”と静岡の“ニュー町中華”によるコラボイベントレポート
2024年6月。“ガチ中華”の先駆者、[味坊]と静岡市の新進気鋭の町中華[鷹匠中華Lu](以下 Lu)によるコラボポップアップが[Lu]にて開催された。
2024年秋には、初の地方進出として静岡駅前の商業施設「cosa」への出店も控えている[味坊]。この日は、[Lu]の厨房や色とりどりの器を通して[味坊]が料理を表現し、(紹興酒を除いて)アルコール類は[Lu]が提供するという内容。
「東京発のガチ中華」と「静岡のニュー町中華」。出自もテイストもずいぶん異なる両者だが、いずれも野菜の品質にこだわりを置いたり、化学調味料を使わなかったりと、素材の味を生かして中華の魅力を探求、発信している点で共通するものがある。むしろ実現するべくして実現したコラボだ。写真と合わせてこの日の様子をお伝えしよう。
am8:30.
味坊集団、静岡着。これまで何度も他店舗でのポップアップを行ってきた味坊集団は、[Lu]につくや否や厨房にてテキパキと準備を開始。迷いがない!
入り口にデーンと置かれた大がめには、味坊サイドが東京から持参した紹興酒。なんと24リットルもあるというからスケールが違う。
12:00.
準備も整い、ポップアップがスタート。
ちなみにこの日は、昼に1回、夜に2回の計3部制。完全予約制で、各20席ずつの予定だったが、いずれも満席(+数席追加)だったそう。[味坊]代表の梁 宝璋さんと、[Lu]店主の青木道大さんの挨拶が終わると、いよいよ料理が出てくる。お客さんも思い思いのドリンクをオーダーし、店内は賑やかに。
この日のメニューは以下の通り。
東京の[味坊]の店舗でもこんな贅沢なコースは滅多に食べられない!
また[Lu]サイドのドリンクメニューも充実。レモンサワーだけで6種類ものレパートリーがある[Lu]だが、そんななかでも特に人気の発酵レモンサワーがこの日のラインナップに並ぶ。さらにオーガニックワイン(赤/白)や、ジンにパクチーを漬け込んだコリアンダージントニックなど、「お酒を楽しむ中華屋」の本領発揮。
[味坊]の代名詞とも言えるラム肉の串焼きは、すべて梁さんが手作業で炭焼き。炭火で豪快に炙りながら、その場で手早くスパイスをふり掛ける。洗練された一連の動きは、もはや芸術的な美しささえ感じさせる。あたりには食欲をそそるスパイシーな香りと大量の煙が漂う。文字通り垂涎モノだ。
「今日は沢山仕込んできたからね!ドンドン食べてください!」と編集サイドにもお裾分け。
一本食べて衝撃が走った。本当においしい!羊肉特有の臭みも一切なく、程よく脂が乗っている。「脂身の部分は焼いても溶けず、しっかり旨みを残してくれます」と語りながら次々と串を焼く梁さん。肉と向き合う時は至極真剣な眼差しだが、カメラを向ければこの笑顔だ。
焼きたてのラムチョップも肉厚でジューシー。串焼きと同じく、その場で梁さんがスパイスを振りかけて仕上げる。シンプルな味付けだからこそ、肉本来の旨みを堪能できる。油も乗っていて食べ応え抜群だったが、不思議なことに翌日には引きずらなかった。
来場者に話を聞いていると、コリアンダージントニックとラム肉や点心との相性が良いという声が多かった。青木さんの「コリアンダージントニックは、味坊さんの料理に絶対合うと思ったんです」という狙いは見事的中!
18:00.
夜の部も折り返し。厨房内のあまりの熱気と目まぐるしさでダウン寸前の青木さん!店先で夜風にあたりながら「いやー参りました」とコメントしつつも、どこか楽しそう。
「今日はとにかく刺激的な1日でしたね。スパイスの使い方など、勉強になることばかりです。厨房でも気になることがあったらすぐ聞いて教えてもらっていました。これから自分なりに消化して参考にしていきたいです」
ここからは写真と共にポップアップの様子を振り返ろう。
創業以来、ローカルの中華料理の魅力を広めることを目指す[味坊]と、枠にとらわれない町中華のスタイルを模索し続ける[Lu]。今回は、両者のミッションがナチュラルな形で体現できた理想的なポップアップだったのではないだろうか。
そういえば[味坊]の方々は、店先で少し休憩している時も、帰られるお客さんを見かけるとお辞儀をしながら「ありがとうございました!!」と丁寧に声をかける姿がとても印象的だった。
また青木さんも後日Instagramの投稿で「忙しいなか普段以上に頑張ってくれたスタッフ。お客様としてお友達やご家族を連れて来店してくれたスタッフ。遠くから成功を望んでくれていたスタッフ。一番に感謝します」と、まずは従業員に対する感謝の気持ちを表明していた。細やかな気配りや周囲への感謝の態度こそが彼らの人気の根底にあるのはいうまでもない。
繰り返しになるが、[味坊]は今年の秋から[cosa]に進出。その本格派の味を静岡に広め、“ガチ中華”ならではの刺激とインスピレーションを与えてくれることだろう。
また[Lu]はこの夏でオープン1周年(まだ1周年!)。今回のポップアップが、“ニュー町中華”にどんなおいしい影響を与えてくれるのか...。楽しみは募るばかりだ。