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In recent times, local cultures and attractions have been rediscovered and appreciated anew. Shizuoka, rich in cultural assets like food and art, holds unique potential.
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REPORT

ビリヤニ炊爨室 × PART COFFEE ROASTER

ビリヤニ炊爨室 × PART COFFEE ROASTER

インドやパキスタンを中心に食べられているスパイス炊き込みご飯「ビリヤニ」を専門とする[ビリヤニ炊爨室(すいさんしつ)]と、「若者と世界を繋ぐ」を掲げる株式会社The Youthが手がけるロースタリーカフェ[PART COFFEE ROASTER](以下:[PART COFFEE])。いずれも静岡駅北口エリアに昨年完成した複合ビルM20内の商業施設[cosa]への出店が決定し、東京から初の地方出店を果たした両者。静岡市という街のことを知り、同時に知ってもらうべくポップアップイベントを開催。多くの人が日常的に触れるコーヒーと、逆に初めましての方が多いビリヤニのコラボレーションは、どんな出会いや発見を与えてくれるのだろう。

ビリヤニ炊爨室 × PART COFFEE ROASTER

南インド、ハイデラバードのスタイルをベースに、様々な地域のスパイス炊き込みご飯のエッセンスを取り入れることで独自の進化を遂げたビリヤニ。店内中に(店の外にも!)スパイスの香りが漂うほどの存在感だが、クセはなく初めての方でも食べやすいのが特徴。この日は日本橋の1号店でも愛されているチキンビリヤニとマトンビリヤニの2種。レモン、ライタ(ヨーグルトのソース)、スライスオニオンで味や食感に変化をつけて楽しめるほか、辛みを追加したい方向けに、ピーナッツとフレッシュとうがらしが入ったミルチカサランも用意。

愛知の野外フェス「森、道、市場」では3日で2,000食を売り切るなど、大規模な出店を幾度となく経験してきた[ビリヤニ炊爨室]オーナーの奈良 岳さん。今回のポップアップに向け、2日前から入念な仕込みを行っていたという!静岡店の店長である佐野さんも、当日[PART COFFEE]カウンター内で、手際よく準備を進める。

[PART COFFEE]は、[cosa]の玄関口の役割を担う路面店。店内の様子が外からわかりやすい作りになっていて、初めての方でも足を踏み入れやすいのが特徴だ。静岡市の鳥であるカワセミの色や、街に点在するベンチのフォルムを取り入れるなど、無意識のうちに心安らぐ空間作りを通して、早くも街の“一部”になりつつある。この日は自家焙煎のコーヒーはもちろん、通常営業でも提供しているワインやビールなどのアルコールメニューを揃えてスタンバイ。

ビリヤニ炊爨室 × PART COFFEE ROASTER

月曜日ということで、ランチ時はまず近隣のオフィスワーカーが訪れる。ビリヤニ自体に馴染みがなく「初めて食べました」という方も多かった。しかしビリヤニ特有の、体が内側からぽかぽかしてくるスパイス感やチキンやマトンの食べ応え、そして自由に味変をしながら食べ進める楽しさなど、ただ空腹を満たすだけにとどまらない新鮮な食体験が、来場者の心と胃を掴んだ。また「この価格にしてこのボリュームはコスパいい!」という声も多かった。

[PART COFFEE]の加藤さんは「12:00くらいから昼休憩のサラリーマンの方々が沢山いらっしゃいました。いつも落ち着いているランチタイムの盛り上がりを経験できて嬉しかったですし、ランチの需要の高さを思い知らされました。時間に余裕がない方も多いなか、仕込んであるものを盛り付けるだけというビリヤニのスタイルはハマっていたと思います。店長の佐野さんは提供の際に食べ方を丁寧にお客さまに伝えていたので、ビリヤニに馴染みのない人も楽しんでいただけのではないでしょうか。」と、静岡では新しいビリヤニランチの可能性を語ってくれた。

夜の部には、編集部の知人も多く足を運んでくださった。なかには中華やフレンチなどの料理人の方も数名いらっしゃったが、感想を聞いてみると「これまで、ビリヤニは進んで食べるものではなかったけど、本当においしかったです!ミルチカサランも辛さだけでなく旨みも詰まっていて新鮮な刺激でした。」と満足げな表情。月曜日でクリスマス前(12月23日!)にもかかわらず、イベントの情報を聞いた方が多く駆けつけ、一時は満席になるほど。[ビリヤニ炊爨室]佐野さんも、「うちのことを知ってくれている方は『待っていたよ』と声をかけてくださり、ビリヤニを知らない人も『美味しかった』と帰りがけに言ってくださることが多かったです。」と、手応えを感じた様子。

ビリヤニでスパイスをたっぷり摂取し、食後に[PART COFFEE]のドリップコーヒーでシメるという贅沢な流れを多くの方が実践されたわけだが、[ビリヤニ炊爨室]が出店する[cosa]2Fのフードホールがオープンすれば常時可能になる。今回、残念ながら参加できなかった方もぜひ安心していただきたい。

ちなみに[PART COFFEE]は、当ポップアップの前週、静岡を拠点とする「loska」とのポップアップを開催。[ビリヤニ炊爨室]も、この翌週にコラボイベントを実施。高いデザイン性や店作りの哲学を感じさせる両店舗だが、質の高いサービスを目指すだけでなく、街の人々との交流を純粋に楽しみ、街における存在意義を高めようとする姿勢に頼もしさを感じる。特に、ビリヤニという新たなカルチャーが街に根付いていくプロセスには今後も注目していきたい。

ビリヤニ炊爨室 × PART COFFEE ROASTER

最後に、それぞれ質問形式でコメントをいただいた。

◇それぞれ互いのお店(あるいは人)に対して、どんな印象をお持ちですか?また今回のコラボイベントの感想を教えてください。

[ビリヤニ炊爨室]佐野さん
挨拶も明るく、居心地が良い空間を作っているなと感じました。合間で話しかけてくれたりしたので、安心して内側に立てました。他店で出店させてもらうのは、お互いの全く違う客層に対してアプローチできる良い機会なので、できて良かったです。同じ[cosa]内の店舗ですが、普段話すことのないスタッフさんと関われるのも良い点だと思います。

[PART COFFEE]加藤さん
店長の佐野さんは寡黙で落ち着いた印象でしたが、イベントが進むにつれて会話も増え共通点もあって盛り上がりました。イベント慣れされているからか手際もよく、オペレーションもやりやすかったです。コーヒーとビリヤニという異色のコラボでしたが、静岡の人にも楽しんでもらえたと思うし私たちも楽しかったです。イベント経験が浅い[PART COFFEE]ですが、今後のイベントにも役立つような発見があったり、イメージを持つことができました。